家具に新しい価値を

私は、施設・店舗のインテリアのデザインに携わり約30年間が経ちました。その中で「家具に新しい価値を生み出したい」と思うようになった最初のキッカケは23年前に遡ります。

2000年8月8日。

社会人になり7年目の私は、自分でデザインしたイスやテーブルを置いた「ショールーム兼カフェ」を個人でオープンしました。お客様のニーズ関係なしで自由な発想で空間を創り上げられたものの「もっと家具に価値を生み出せないものか…」という気持ちがありました。

その後、世の中で民泊が流行れば民泊の二段ベッドを作ったり、流行りの装飾に合わせて家具を作っていく中で、焼肉屋の店舗デザインを担当した時に「ハッ」としたのです。

焼肉屋のテーブルはコンロが埋め込み式になっていて、「焼く時はパカッと開いて肉を焼けます。「収納がゴチャゴチャせず、家具と家電の機能性が高いものを作れたら面白そうだ。装飾よりも機能性を大切にした軸で家具を作り、新しい価値を生み出していきたい」と思うようになったのです。

そして、2021年の9月「家具・家電の融合」というテーマでチャレンジができる機会がやってきました。それは、第63回大阪インターナショナルギフト・ショー2021。「端材・廃材×クリエイティブ」がテーマのこの展示会に、「食器と照明を合体させた作品」を出品したところ、フェアでご紹介いただけることになったのです。

制作期間は3ヶ月でしたがこの作品に評価をいただき、ニューツルマツ天王寺MIO様が店舗に取り入れてくださいました。

私が社会人になって30年が経ちますが、家電はインターネットやスマホとつながり革新的になっているものの、家具はそれほど進化しているとはいえません。

今回制作したキャビネットのように「灯り・充電×家具」という革新的な開発をしているところは日本国内ではまだまだ少ないのです。

実際に今回キャビネット開発をしてみて、その理由がわかりました。電気製品メーカー、木工工場、金物工場それぞれの連携が必要になり、工数もかかるからです。

この課題はありますが、弊社はもっと家具を革新的にしていけると確信しています。

一点物の家具の製作はどうしても価格は高くなります。そうなると手に入れるのが難しくなります。とはいえ、大量生産の家具だと進化がない。その中間の「特定のライフスタイル・シーンにマッチするプロダクト」を作り、人々の生活を豊かにしていく挑戦をしていきたいのです。

ちなみに、enigmaというブランド名はドイツ語で「謎」という意味です。「こんなことができたら良いのにな…なんでできないんだろう?」という「謎」を解読し、今までにない新しい価値を生み出していく想いを込めて命名しました。